人手不足に悩む企業のなかには、ネパール人の採用を考えているところもあるでしょう。近年、母国以外の就労先として日本を選ぶネパール人が増えています。どのような性格や特徴があるのかを知り配慮することで、長く働いてくれる人材として活躍が期待できるでしょう。

この記事では、ネパール人の性格や特徴を紹介します。ネパールの基本情報や、働く際に配慮したい宗教・文化的なポイントも解説。性格や仕事観の背景にある文化についてあらかじめ把握し、ネパール人と円滑に働くためのマネジメントにお役立てください。

※Leverages Globalは偏見と差別の排除を理念の一つに掲げて活動しています。本稿にも「人種」や「国籍」といった特定の属性に対するイメージを単純化する意図はありません。本稿の内容は、あくまでネパールの文化や社会通念を紹介するものであり、個々人の性格は多種多様であるという点を踏まえてご覧ください。

ネパールの基本情報

ネパールは、チベット自治区とインドに挟まれた南アジアに位置する連邦民主共和制の国で、さまざまなバックグラウンドをもつ人が共存する多民族・多宗教・多言語国家です

2008年に王政が廃止されてから連邦民主共和制へ移行し、2015年に新憲法が公布されました。2020年には、それまで「ネパール連邦民主共和国」だった国名を「ネパール」に正式変更。世界で唯一、長方形ではない形の国旗をもつ国としても知られています。

そのほか、ネパールの基本的なデータは以下のとおりです。

面積 14.7万㎢(北海道の約1.8倍)
人口 2,969万4,614人(2023年時点)
首都 カトマンズ
民族 パルバテ・ヒンドゥー、マガル、タルー、タマン、ネワールなど
公用語 ネパール語
宗教 ヒンドゥー教徒、仏教徒、イスラム教徒ほか

参照元:外務省「ネパール(Nepal)基礎データ

国土面積は北海道の約1.8倍にあたる14.7万㎢と比較的小さいものの、ヒマラヤ山脈の中心部に位置し、最高峰エベレストをはじめとする世界有数の名峰を擁しています。

公用語はネパール語ですが、国民の多くが第二言語として英語を話せるのが特徴です。また、120以上の民族が共存する多民族国家のため、ネパール語以外にそれぞれの独自言語が使われているとされています。

宗教については、ヒンドゥー教・仏教・イスラム教などが信仰されており、国民の81.3%がヒンドゥー教徒です。次に多いのが仏教徒で人口の9%、イスラム教徒が4.4%となります。ヒンドゥー教と仏教の共存によりネパール独自の宗教観も形成しているなど、信教の自由が保障された多宗教国家です。

このように、ネパールは多様な民族が共存する背景とその文化の融合をもとに発展を続けている国家といえるでしょう。

参照元:外務省「ネパール

ネパール人の性格や特徴

ここでは、ネパール人の性格やどのような特徴があるかについて解説します。

もちろん個々人の性格や価値観はそれぞれ異なるため、あくまで社会通念上の一説として雇用管理やコミュニケーションの参考にしてみてください。

家族や仲間を大切にする

ネパール人は、家族や仲間とのつながりを非常に大切にする傾向があります。母国から離れていても、家族の病気や用事には仕事を休んで駆けつけるのが一般的です

仕送りするために海外で働いているネパール人も一定数存在し、親しい人が困っていればお金の援助も惜しまない助け合いの精神が根付いています。親戚や仲間内のコミュニティとのつながりも強く、個人よりも集団での調和を重視するのが特徴です。

まじめで素直に仕事へ取り組む

基本的にまじめな性格の傾向があるネパール人は、仕事に対しても熱心に取り組む姿勢があります。特に家族のために海外で出稼ぎをしている場合、「少しでも多く仕送りをしたい」という気持ちから勤勉さを発揮することも珍しくありません。より多くの賃金を得るためならば、残業もすすんで行う人が多いようです。

指示を守ったり、マニュアルやルールに沿って実行したりする素直さも持ち合わせているため、安定的な働き方が期待できるでしょう。

年長者や立場の上の人を敬う

ネパールには、年長者や立場が上の人を敬う文化が根付いています。たとえば、家庭では祖父母や両親の意見が尊重され、結婚・進学・就職などに親の意向が反映されるケースも少なくありません。年長者を支えたり面倒を見たりするのは当然のことと考えられているため、世代を超えて家族と同居し家事や子育てを助け合っています。

このようなネパール人の特徴は、介護職や接客業において強みになると考えられるでしょう。高齢者やお客さまに対して丁寧かつ気遣いのある対応が期待できます。

時間に対しておおらかな一面がある

日本人に比べて、ネパール人は時間に対しておおらかな一面があるのが特徴です。これには、整備が行き届いていないインフラや交通事情、社会的な不安定さなどが関係しています。綿密な計画を立ててしっかりスケジュール管理をしても、上記のような理由で急遽変更されたり白紙になったりと、決められたとおりに物事が進むとは限らないためです

期限や時間を守る意識が根付いている日本とは感覚が大きく異なりますが、本人たちに悪気があるわけではありません。一緒に働く際は一概に「やる気がない」「真剣に取り組んでいない」と捉えたりせず、認識の違いを理解したうえで時間に対する考え方をアドバイスしてあげましょう

なお、全員がそうというわけでなく、特に日本の在住歴が長い人は時間を守る大切さを生活のなかで学んでいます。

多様な文化に寛容

ネパールは、インド・アーリア系やチベット・ビルマ系をはじめとした多様な民族が暮らす多民族国家です。話す言語や文化、慣習が異なる120以上の民族が北海道の1.8倍ほどの国土のなかで共に暮らしているため、異なる価値観を認め合い共存する力に長けています。そのため、さまざまな国籍や文化的背景をもつ人がいる職場にも比較的溶け込みやすいでしょう。

ネパール人と働く際に配慮したい宗教・文化的ポイント

ここでは、ネパール人と働く際に配慮したい宗教上や文化的なポイントについて紹介します。

先述したように、ネパール人の約8割はヒンドゥー教徒です。日本人には馴染みの薄い慣習が多く存在しますが、本人の信仰する宗教や戒律の尊重は、相手からの信頼を得て企業への帰属意識を高めることにつながります

宗教や文化的にタブーな言動を事前に把握し、良好な信頼関係を築くための土台づくりをしておきましょう。なお、宗教に対する信仰度合いは人それぞれ異なる点を念頭に置いたうえでご一読ください。

食文化への配慮を忘れない

ヒンドゥー教では牛は神聖な動物、豚は不浄な動物と考えられているため、ヒンドゥー教徒は牛・豚を食べることができません。鶏や羊、ヤギの肉なら食べるという人もいますが、多くの人は肉食そのものを避けます。

会食や忘年会、パーティーがある場合は全員が食事を楽しめるよう、お店やメニュー選びに配慮しましょう。たとえば、打ち上げで焼き肉店を選ぶと、ヒンドゥー教徒が積極的に食べられる料理がほとんどありません。個別で食べたいものを選べたり、メニューの種類が豊富だったりするお店のほうが、全員が気持ちよく食事を楽しめるでしょう

社員食堂がある企業では、ベジタリアンやヴィーガン向けのメニューを用意すればヒンドゥー教徒も安心です。なお、どこまで戒律を守るかは人によって異なります。肉に加えて魚介類や生ものを避けるヒンドゥー教徒もいるため、可能であれば本人にどのような配慮が必要か確認してみましょう。

左手の使い方に気を配る

物の受け渡しや握手を左手で行わないよう社員全員で意識するのも、ヒンドゥー教徒への配慮の一つです

ヒンドゥー教では、右手は聖なる手、左手は不浄の手と考えられています。そのため、左手で物を渡したり握手を求めたりするのは、非常に失礼な行為にあたるのです。特に、食べ物や飲み物など口に入れるものを左手で扱うのはタブーとされています。

ヒンドゥー教徒以外の人は意識していない部分なので、慣れるまで完璧に実施するのは難しいでしょう。しかし、全員が気を付けようと努力している様子が伝われば、相手からの信頼を得ることにつながります。

余談ですが、イスラム教でも左手は不浄とされています。外国人社員に書類などを渡すときは、信仰している宗教に関わらず右手、もしくは両手を使うのが無難でしょう。

食べ物のシェアは控える

ヒンドゥー教では、一度口をつけた食べ物は周囲の人とシェアしません。前述した「左手は不浄の手」と考えられているのと同じように、他人が口をつけたものは穢れているとされています。日本では一口だけ分け合う場面が珍しくありませんが、ヒンドゥー教ではタブーのためうっかり勧めないよう注意が必要です。

鍋や大皿に乗った料理を取る際は、必ず取り分ける用の食器を用意し、互いの食器類が触れないよう配慮しましょう。それでも気になるという人には、無理に食べることを強要してはいけません。

宗教行事期間の休暇取得に配慮する

ヒンドゥー教徒のネパール人を雇用した場合、宗教上の祭日にまとまった休暇が取れると非常に喜ばれるでしょう

ネパールでは9月中旬から10月にかけて、ヒンドゥー教最大のお祭りである「ダサイン」が行われます。日本のお正月のようなもので、15日間にわたって開催される一大イベントです。

ダサインの時期は遠くで働くネパール人も帰省し、親族一同で集まってお祝いをします。家族愛がひときわ強いネパール人のなかには「ダサインで休めないのなら会社を辞める」とまで言う人もいるようです。

口には出さずとも、「ダサインの時期に一時帰国し家族で過ごしたい」と思っているネパール人は少なくないでしょう。会社の体制を調節してまとまった休みを取れるようにすると、モチベーション高く働いてもらえる可能性があります。

関連記事:「ネパール人の宗教観とは?文化上のタブーや円滑に働くポイントも解説

ネパール人と円滑に働くには

ネパール人と円滑に働くためには、以下の点を意識して教育や指導を行うのがコツです。

相互理解に努める

ネパール人と日本人の違いを知り、お互いが歩みよることは非常に重要です。

ネパール人と日本人は情緒的に似ている部分が多いといわれていますが、それでも異なる面はたくさんあります。いくら日本で働くとはいえ、すべてを日本人のやり方に合わせるというのは難しいでしょう。ネパール人の慣習や価値観を知ったうえで、ある程度は許容する姿勢が必要といえます

逆もまた然りで、ネパール人にも日本人特有の価値観や文化を理解してもらわなければなりません。異文化理解が進んでいないと、業務やコミュニケーション上のトラブルが起きやすくなります。

座談会や勉強会、ワークショップなどを積極的に開いて、お互いを深く知れる機会を作るのがおすすめです。

時間管理の大切さを教える

ネパール人と円滑に仕事をするためには、時間を守る大切さも教えておきましょう

先述したとおり、ネパール人は時間管理が苦手な傾向にあります。「時間は守るべきもの」「遅刻はしてはいけないこと」という認識がそもそも薄いため、悪気なく遅れてしまうのです。

遅刻や締め切りを守れなかったことをただ叱責しただけでは、根本的な解決にはなりません。「日本では時間を守れないと信用を無くす」「時間を守るとさまざまなメリットがある」といった点を伝え、意識の改善を図る必要があります

また、就業規則で遅刻に対するペナルティをしっかり記載しておくのも効果的です。遅刻で働けなかったぶんの給与は、もちろんノーワーク・ノーペイの原則で支払う義務はありません。さらに、あらかじめ就業規則に懲戒処分として記載してあれば、罰金(減給)も実施できます(金額に上限あり)。

ネパール人の多くは高い賃金を得るために日本で働いているため、給与に影響が出るとなれば時間に対する意識改革が期待できるでしょう。

ネパール人労働者は増えている

近年、日本ではネパール人労働者が増加傾向にあります。

厚生労働省の発表した「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」によると、日本で働くネパール人は、2025年10月末時点で23万5,874人でした。これは外国人労働者全体の9.2%、国籍別の人数としては第4位です。さらに、対年増加率で見ると前年から25.7%増加しています。

特に増えているのは「留学」や「技術・人文知識・国際業務」、「特定技能」などの在留資格をもつネパール人でした。これまではマレーシアや中東の国々に働きにいく人が多くいましたが、国民の意識に変化があり、より治安や生活環境が整っている日本を選ぶ人が増えているといわれています。

今後もネパール人労働者は増加していくと考えられるため、事前に価値観や文化の違い、宗教などについて理解したうえで、適切なコミュニケーションを取れる職場環境づくりが大切です。

参照元:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)

関連記事:「【特定技能】ネパール人の採用手順・費用・円滑に働くポイントを紹介

まとめ

日本に働きに来るネパール人は、ネパール周辺諸国の経済状況や国民の意識の変化により、年々増加傾向にあります。今後も人数は増えていくと考えられるでしょう。

勤勉で文化の違いに寛容な特徴をもつだけでなく、日本人と情緒的に似ている部分が多いといわれています。宗教や文化面で気を付けるべきポイントにしっかり配慮できれば、腰を据えて長く働いてくれる可能性があるでしょう。

安定的に人材を確保していくためにも、ネパール人の性格や文化を理解したうえで雇用を検討してみてください。