「外国人労働者を受け入れるメリットは?」と気になる採用責任者の方もいるでしょう。外国人を雇用すると、近年深刻化している人材不足の解消や、企業の多様化促進といったプラスの効果が期待できます。

外国人労働者の受け入れは面倒でややこしいのではと思われがちですが、一度理解してしまえばフォーマット通りに進められるので、そう負担はかかりません。不安な場合は専門家のサポートを受けつつ進めるのも選択肢の一つでしょう。

このコラムでは、外国人労働者を受け入れるメリット・デメリットを紹介します。国内の受け入れ現状や雇用上の注意点、入社までの流れもまとめているので、ぜひご一読ください。

外国人労働者の受け入れ現状

日本で働く外国人労働者の数は増加の一途を辿っています。厚生労働省の「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」によると、2024年10月末時点で国内の外国人労働者数は過去最多の約230万人に達しました

在留資格別外国人労働者数の推移のイメージ

引用元:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ【本文】(令和6年10月末時点)

少子高齢化が進む日本では、多くの業界で人材不足が発生しており、積極的な外国人雇用に乗り出す企業が増えています。政府や地方自治体も、企業が外国人材を獲得しやすくなるようさまざまな施策を打ち出しているのが現状です。

インバウンド市場や海外市場の拡大に伴い、グローバルな経験を活かして活躍できる人材の価値は今後ますます高まっていくでしょう。

ここからは、厚生労働省のデータをもとに、外国人労働者の受け入れについて項目別に解説します。

産業別

外国人労働者が最も多い産業は「製造業」です。需要に対して働き手が不足しているため、積極的に外国人材が採用されています。

産業別外国人労働者の割合のイメージ

引用元:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ【本文】(令和6年10月末時点)

また、前年からの増加率を見ると「建設業(+13.7%)」「医療、福祉(+12.4%)」「卸売業、小売業(+7.8%)」「宿泊業、飲食サービス業(+7.5%)」などの産業が人数を増やしました。

建設業や介護職は特に成り手不足が課題となっており、前述の製造業と同様に技能実習制度」や「特定技能制度」を利用して外国人を受け入れる企業が多いのが特徴といえるでしょう。

近年の卸売業・小売業では、インバウンド事業の拡大に伴い、多言語対応できる外国人スタッフの需要が高まっています。スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで働く外国人労働者が多い状態です。

宿泊業界や外食業界はコロナ禍の外出自粛で大打撃を受けたため、採用を一時的にストップしていた企業が多く、活気を取り戻した現在は人材獲得が急務となっています。

国籍別

国籍別に見る外国人労働者数は、ベトナム人が最多です。2024年10月末時点で全体の24.8%を占めています。

国籍別外国人労働者の割合のイメージ

引用元:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ【本文】(令和6年10月末時点)

これまで長らく中国人が最も多い状態が続いていましたが、中国国内の経済発展により来日する中国籍の労働者が減少。代わりに技能実習生として来日するベトナム人が増加し、2020年以降は数値が逆転しています。

なお、前年比ではミャンマー(+61.1%)・インドネシア(+39.5%)・スリランカ(+33.7%)が上位となっており、弊社の人材紹介事業でも各国出身者と企業のマッチングを数多く実現させてきました。

インドネシアとスリランカは、まさに就労先として日本の人気が高まっている最中で、これから数年間は日本で働く人が増えていくでしょう。インドネシアは世界で最もイスラム教徒が多い国であり、雇用にあたっては文化の理解と配慮が求められますが、それだけに受け入れ態勢をしっかり整えている企業は良好な関係を築きやすい傾向があります。

日本で働きたいミャンマーの若者も多いものの、軍のクーデター以降、未だに情勢が不安定です。今後の動向が読みにくい状態ですが、安定した暮らしを求めて就労希望者が一気に日本に押し寄せる可能性もあり、注目度が高い国といえるでしょう。

在留資格別

在留資格とは、外国人に日本での活動を認める資格のことです。種類によってできる活動が異なりますが、厚生労働省のデータによると日本の外国人労働者に多いのは「専門的・技術的分野の在留資格」でした

在留資格別外国人労働者の割合のイメージ

引用元:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ【本文】(令和6年10月末時点)

「専門的・技術的分野の在留資格」は、就労目的で在留する外国人に与えられ、種類に応じて行える仕事が決まっています。代表的な在留資格は「技術・人文知識・国際業務」で、本人の学歴や職歴を活かした専門的な職業(通訳・ITエンジニア・マーケター・デザイナーなど)で就労可能です。また、人手不足の業界で採用人数が急増している「特定技能」もこちらに含まれます。

次に多い「身分に基づく在留資格」は、その名の通り外国人の身分を示すものです。日本人と結婚した「日本人の配偶者等」、日本への貢献度によって与えられる「永住者」などが含まれており、就労に関する制限はないためどのような仕事にも就けます

前年度比では「専門的・技術的分野の在留資格」が20.6%増加し、そのうち「特定技能」の外国人労働者数は49.4%増と高い伸び率です。

参照元:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)

雇用可能な在留資格の種類

外国人労働者を受け入れる際は、自社で雇用可能な在留資格の種類を確認しましょう。在留資格は全29種類ありますが、そのうち一般企業で採用する可能性があるものはわずか数種類しかありません。

技術・人文知識・国際業務

一般企業のオフィスで働く職種で外国人を雇用する場合、多くは「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が該当します。具体的には、ITエンジニアやデザイナー、マーケター、通訳者などの専門的な知識を必要とする仕事です。清掃や調理のような単純作業に該当する業務は行えません。

特定技能

単純労働を含めたさまざまな業務に従事できるのが「特定技能」の在留資格です。ただし、就労が認められるのは以下の業種に限られます。

  • 介護(1号のみ)
  • 外食業
  • 宿泊
  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造業分野
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 自動車運送業
  • 林業
  • 鉄道
  • 木材産業

特定技能は1号と2号に分かれており、1号は最長5年、2号に移行すれば事実上無期限で日本に在留可能です。

特定技能制度の拡充

特定技能の職種に該当する企業は、技能実習制度の代わりとなる「育成就労制度」の創設により今後さらに外国人労働者を受け入れやすくなるでしょう

育成就労制度は特定技能制度への移行を前提としており、3年の育成期間のうちに外国人労働者の技能や知識、日本語能力を特定技能1号の水準までもっていくことを目指します。職種も特定技能の対象職種にあわせて編成される見込みです。

技能実習制度では5年の研修期間を終えたら帰国せざるを得なかった人材も多くいました。しかし、育成就労制度がスタートすれば、そのまま特定技能へ移行し、日本に留まる人材が増えると考えられています。

技能実習

「技能実習」の対象職種に当てはまる業種では、技能実習生を受け入れることが可能です。

技能実習生は最長で5年間の受け入れが可能で、期間満了後も特定技能の在留資格に移行すれば引き続き雇用できます

なお、2027年4月1日に技能実習制度は廃止され、前述した特定技能への移行を前提とした「育成就労制度」に切り替わることが決定しました。

専門的な在留資格(介護など)

専門的な資格や特別な経験が必要な職種は、その仕事に特化した在留資格を取得する必要があります。たとえば、介護福祉士であれば「介護」、学校教師であれば「教育」などです。

身分に基づく在留資格(永住者、日本人の配偶者等など)

「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」は、身分に基づいて許可される在留資格に分類されます。業務内容に制限が無いため、日本人と同じようにさまざまな職種で就労可能です

その他

「留学」のように就労が禁止されている在留資格であっても、出入国在留管理官署で「資格外活動許可」を得ていれば、決められた範囲内(原則、週28時間以内)でアルバイトとして働けます。就労が認められていない外国人を雇用すると本人や企業側に罰則が科されるため、採用時には許可を得ているかどうかを事前に確認しましょう。

参照元:出入国在留管理庁「在留手続

外国人労働者を受け入れる8つのメリット

外国人採用のメリットのイメージ

外国人労働者の数が増えているのは、雇用する企業もさまざまなメリットを感じているからです。人材不足への対策が主ですが、それ以外にも目を向けるべき点があります。

以下で詳しく見ていきましょう。

1.人手不足の解消

外国人労働者の受け入れ現状」の解説で述べたように、日本の経済活動の中核を担う生産年齢人口(15~64歳)は減少を続けています。

厚生労働省の「一般職業紹介状況について」によると、2024年度の転職市場の平均有効求人倍率は1.25倍でした。すなわち求職者の数を求人数が上回る売り手市場ということです。

その影響は全ての企業で一定ではなく、都会よりも地方、大企業よりも中小企業で顕著な傾向があります。注目されやすい業界とそうでない業界でも明暗が分かれているのが特徴です

一方、外国人労働者の多くは「お金を稼ぎたい」「スキルを磨きたい」といった明確な目的意識をもって日本に来ています。そのため、条件や仕事内容が合っていれば、地方企業や中小企業にも応募が比較的集まりやすいのです

外国人向けの福利厚生やサポート体制をしっかり整え、差別やハラスメントが起こらないよう社員の国際感覚を高めることで、外国人材の安定的な獲得に成功する企業が全国で増えています。

2.若年層を採用できる

来日する外国人労働者は20~30代の若年層が多いので、若い人材の確保に悩んでいる企業にも外国人採用は適しているでしょう

少子高齢化の影響で、日本の若年層は減少していく予想です。将来的に中核を担う若手社員が不足している企業や、現場で活躍する若い力を常に必要としている企業は、国内の人材とあわせて海外出身者にも積極的にアプローチしていくのが望ましいでしょう。

3.仕事へのモチベーションが高い人材が多い

外国人労働者のなかには「日本で目標を叶える」という強い覚悟の末に、住み慣れた母国を離れる選択をした人もいます。そのような人たちは、自身のキャリアアップやスキルアップに対して前向きな傾向です

目標に近づける仕事内容と正当な評価基準を用意することで、人一倍に活躍してくれるでしょう。

ただし、こうした前向きな姿勢も、ストレスが多い職場ではなかなか発揮されません。文化の違いやコミュニケーションエラーなど、外国人従業員のやる気を下げうる要素については、後述の「外国人労働者を受け入れる5つのデメリット」であらためて解説します。

4.新たな視点や価値観をもたらしてくれる

日本の常識に対して新たな視点・価値観で疑問を投げかけてくれることも、メリットの一つです

日本企業に根強く残る文化のなかには、外国人にとっては非効率で無意味に感じられる作業が少なくありません。

事実として、弊社サービスをご活用いただいている企業のなかには「なぜペーパーレス化しないのか?」「業務を効率化する方法はないか?」という外国人社員の意見に真摯に耳を傾けることで、業務効率化に成功した事例もあります。

また、社会規範は常に変化を続けており、数年前までは問題視されなかった行為がハラスメントや差別と認められるようになりました。従業員や経営層が価値観をアップデートできず、大きな問題に発展してしまった企業の不祥事も頻繁に報道されています。

外国人の採用時はもちろん、時代に合わせてハラスメントや差別に対する感度の強化は必須です。外国人社員がもたらす変化をポジティブに捉えることで、企業内に潜むさまざまな改善点やリスクが炙り出され、これからの時代にふさわしい国際感覚が磨かれていくでしょう。

5.訪日外国人向けの事業で活躍してくれる

外国人労働者の雇用は、インバウンド事業や海外進出の大きな武器になります。母国の文化的背景や価値観に関する知識は、特に訪日外国人向けの仕事で活躍が期待できる部分です。市場調査や接客において、これまでの経験や感覚を存分に活かせるでしょう。

また、外国人向けに事業を展開する場合、言語監修を任せられるネイティブ話者のスタッフが社内にいれば、安心して商品やサービスを世に送り出せます。

6.ダイバーシティが推進される

企業のダイバーシティの推進に直結するのも、外国人労働者を受け入れるメリットです

人材不足が加速する日本で安定的な経営を行っていくためには、年齢・性別・国籍・宗教・身体的特徴などの属性に左右されず、あらゆる人が活躍できる環境を作っていかなければなりません。

外国人採用もその一つといえます。たとえば、礼拝や食事制限の戒律に従うムスリム(イスラム教徒)の社員を採用するのは、企業にとって挑戦かもしれません。しかし、全く異なる文化圏の仲間が自分らしく生き生きと活躍できる環境を作り上げた経験があれば、その後の採用活動における対象範囲を広げていくことも可能でしょう。

また、日本で働く外国人の出身国の割合は年々変化していますが、採用に関するノウハウは国籍に関わらず大部分が共通しています。ベトナム人雇用に力を入れている企業であれば、近年増加しているフィリピン人やネパール人の受け入れもスムーズに行いやすいということです。

7.海外市場進出への足掛かりになる

外国人労働者の受け入れは、海外市場への進出を見据えている企業にとって大きな足掛かりになります。海外には日本とは異なるそれぞれの国の法律や習慣、言語、経済の傾向などがあり、情報収集や戦略の立案は欠かせません。

「特定の国に販路を拡大したい」「現地に営業所を構えたい」といった際、それらに精通した外国人材やターゲット国出身の外国人を雇用すれば、スムーズなビジネス展開が叶うでしょう。

8.外国人労働者受け入れ関係の助成金を活用できる

国籍問わず支給の対象となる助成金を活用すれば、外国人労働者の受け入れに係るコストを軽減できるのもメリットの一つです。具体的には、以下のようなものがあります。

  • 人材確保等支援助成金
  • 雇用調整助成金
  • 業務改善助成金
  • トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
  • キャリアップ助成金(正社員化コース)
  • 人材開発支援助成金(人材育成支援コース)
  • 働き方改革推進支援助成金

これらは「外国人雇用そのもの」に適用される助成金ではなく、外国人が安心して働ける職場環境作りや社内制度の調整といった、定着率の向上に向けた対策を行った企業に支給されるものが主です。要件はありますが、申請が通れば整備にかかった費用の全てもしくは一部が助成されます。

各都道府県の労働局やハローワーク窓口のほか、電子申請も可能なので、費用を考えて外国人雇用に踏み切れずにいる企業の方は検討してみてください。

参照元:
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)について
厚生労働省「助成金のお問い合わせ先・申請先

外国人労働者を受け入れる5つのデメリット

外国人採用の注意点のイメージ

当然ですが、外国人労働者の受け入れはメリットばかりではありません。

とはいえ、これから紹介する5項目は「デメリット」というよりも「外国人を雇用するうえで企業が乗り越えるべきハードル」に近いといえます。原因を理解して対策を講じれば問題ありませんが、放置したままでは企業と外国人労働者の双方に不利益が生じるでしょう。

どのような部分が課題になり得るのかを確認し、自社で解決可能かどうかを考えてみてください。

1.外国人ならではの雇用手続きを覚えなければならない

外国人労働者を受け入れるためには、外国人ならではの雇用手続きやルールを覚えなければなりません。なかでも、外国人が日本に滞在するための「在留資格」にはさまざまな種類があり、その多くは就労可能な業務に制限を設けています

また、外国人の雇入れや離職時に「外国人雇用状況の届出」を行わなければならないのも、日本人との違いの一つです。

在留資格の変更・更新や就労できる職種の確認、届出書の提出などを怠ると、企業側や外国人本人に罰則が科されるため注意しましょう。

関連記事:「就労ビザ(在留資格)は難しくない!全19種類のうち外国人採用に関わるビザはどれ?

2.文化や言葉の違いがトラブルに発展するリスクがある

外国人採用を行う際に課題になりやすいのが、文化や言語の壁です。思いもよらない場面で、ミスコミュニケーションによる人間関係のトラブルや仕事のミスが起きる可能性があります

日本人同士ならお互いの表情や雰囲気、身振り手振り、前後の発言などから察してもらえる話も、外国人相手だと上手く通じないことも少なくありません。業務上の指示が正確に伝わらず、一つの誤認から重大なミスにつながるケースも考えられます。

また、日本人としては特に意識していない言動も、外国人からすると不快に思う場合もあるでしょう。

3.すぐに転職してしまう可能性がある

国籍や業界を押しなべて見れば、外国人労働者の離職率は高い傾向があるといわざるを得ません

その背景の一端として、国民性の違いが存在します。たとえば、ベトナムでは日本よりも転職活動がしやすく、履歴書1枚と面接1回で即採用というケースが珍しくありません。「何かあってもすぐに転職すれば問題ない」という考え方の外国人は、日本人より比較的多いのが現実でしょう。

しかし、外国人労働者も転職したくて転職するわけではありません。むしろ在留資格による就労制限がある人は、本来ならできるだけ同じ会社で長く働きたいと考えています。外国人材に長く働いてもらうためには、企業側の柔軟な対策が欠かせないでしょう。

4.受け入れ完了に時間を要する

外国人労働者の受け入れ時に在留資格の取得や変更、または海外からの引っ越しなどが必要な場合、すぐに雇用することはできません。また、外国人の採用が決まったら受け入れるための環境整備も必要です。

そのため、「採用後すぐに働いてほしい」と思っても、スピーディーに人材を確保するのは難しいといえます。準備が不十分なまま外国人を雇用すると、本人が職場に適応できず早期退職やトラブルにつながる恐れがあるでしょう。

5.外国人雇用に伴う法的リスクが生じやすい

日本人とは異なる、外国人ならではの法的リスクが生じやすくなるのもデメリットの一つです。たとえば、在留資格で定められた期間を超えて滞在する「オーバーステイ」や、在留資格で認められていない業務に就かせる違反行為などが挙げられます

知らなかったとしても違反すると「不法就労助長罪」として罰せられるため、外国人雇用では常に起こり得る問題といえるでしょう。

参照元:
厚生労働省「外国人雇用状況の届出について
厚生労働省「不法就労に当たる外国人を雇い入れないようにお願いします。

外国人労働者を受け入れる際の注意点

ここまで紹介したメリット・デメリットを踏まえたうえで、外国人労働者を受け入れる際の注意点について解説します。

在留資格・雇用手続きについて正しく理解しておく

外国人材を採用する場合は、自社の業務で就労可能な在留資格の種類や外国人の雇用手続きについて正しく理解しておきましょう

特に注意すべきなのは、留学生を新卒で採用する場合や、海外在住の人材を採用する場合です。このケースでは、自社の業務で就労可能な在留資格の取得をサポートする必要があり、手続きが複雑になります。書類や手順に不備があると、それまでにかけた時間やコストが無駄になりかねません。

初めて外国人を雇用する場合は、外部の専門家を頼ることをおすすめします

具体的には、ビザ業務を専門とする行政書士や外国人に特化した人材紹介サービスなどです。最初に専門家の力を借りて採用フローやチェックリストを構築してしまえば、その後は社内で判断可能な範囲が拡大するでしょう。

弊社の外国人専門の人材紹介サービス「Leverages Global」では、企業さまの条件に合った人材をご紹介しています。必要に応じて行政書士事務所とも提携するなど、採用計画を立てる段階からアフターフォローまで一貫したサポートが可能です。

文化や価値観などの違いを前提に受け入れ体制を整える

日本企業で外国人を受け入れる場合、文化や価値観の違いはどうしても避けられないものです。思わぬトラブルが発生するリスクを最小化するために、あらかじめ社内でコミュニケーションの注意点や就労環境の整備について周知しておきましょう

たとえば、イスラム教徒の女性は肌や髪を隠すためにヒジャブと呼ばれる布を身に着けるべきとされています。宗教はその人のアイデンティティと密接に関わるもの。社内の服装規定にそぐわないからといって、着用を禁止することは本来できません。仮に自由なヒジャブの着用が規則違反にあたるのであれば、企業ロゴが入ったオリジナルのヒジャブを作成して配布するといった柔軟な対応が求められます。

なお、社内のルールや環境が変わることに対して、既存の社員が不安や不満を感じるケースがあるため、「なぜ外国人社員の力が必要なのか」を説明する機会を設けるのも大切です。社内の担当者が実施するのが難しい場合は、外部から講師を招く手もあります。

お互いに円滑に業務を進められるよう、既存の社員と外国人労働者の双方に寄り添った受け入れ体制を整えましょう。

採用前に業務内容と労働条件を明確に共有する

入社後のミスマッチを避けるために、採用前に業務内容と労働条件を明確に共有しておくことが重要です。離職が発生する最大の要因は「そもそも企業に合わない人材を採用してしまう」こと。外国人労働者の受け入れに慣れていない企業は、在留資格や日本語能力にばかり気を取られ、スキルや人柄を見落としてしまいがちです。

在留資格の種類や日本語能力の水準も大切ですが、会社では一緒に働く同僚や先輩、上司がいます。外国人の仕事に対する考え方やこれまでの経験といった面も含めて総合的に判断することで、ほかの社員と協力しながら長く働いてくれる人材を見極められるでしょう。

採用から就労開始までのスケジュールに余裕をもつ

外国人雇用では、日本人の場合よりも採用から就労開始までのスケジュールに余裕をもたせるのがポイントです。在留資格の手続きや職場の環境整備を間に合わせるためには、外国人を雇用すると決まった時点で動き出しましょう。人材を選考する前からある程度準備を進めておけば、受け入れまでの時間短縮につながります。

法令遵守を徹底して専門家と連携する体制をつくる

外国人労働者にも日本人と同様の労働基準法が適用されるため、法令遵守の徹底は必須です。なかには、最低賃金以下で長時間労働を強いる悪質な企業も存在しているようですが、適切な賃金と労働時間は守らなければなりません。

また、「外国人だから」という理由だけで日本人とのあいだに待遇差を設けることも禁じられています。万が一のトラブルに備えて、いつでも専門家に相談できる体制を整えておくと安心でしょう。

参照元:厚生労働省「外国人従業員とのコミュニケーションのコツ(コミュコツ)

外国人労働者を受け入れる基本の流れ

外国人雇用の8ステップのイメージ

ここからは、外国人労働者を受け入れる基本の流れについて説明します。

1.自社に合った方法で募集をかける

外国人雇用では募集方法も重要です。自社に合った方法で募集をかけるようにしましょう。

自社サイト

自社で採用ページを作る際は、簡単な日本語や英語を用いた外国人向けページを作るのが効果的です。ただ翻訳して言語を変えるだけでなく、内容も外国人労働者向けにしましょう。

海外の求人では業務内容を事細かに記載するのが一般的です。日本の募集要項の書き方では、どのような職場なのかイメージしづらく、外国人が応募をためらってしてしまうことがあります。

外国人専用の求人サイト

自社サイト以外では、外国人専用の求人サイトで募集をかける方法もおすすめです。外国人労働者の多くは外国人専用の求人サイトを活用しています。多言語に変換できたり日本語レベルごとに求人を探せたりするので、個々に合わせて使える点が魅力のようです。

なお、外国人専用ではない求人サイトをチェックしている人も一定数いるので、両方に求人を出すとより効果的に応募を集められるでしょう。

教育機関経由

新卒採用では、大学や専門学校、日本語学校といった教育機関に求人を出すのが基本です。外国人の場合は特に、情報が得やすく安心して応募できる学校経由の求人から興味のある企業を探していく傾向があります。

人材紹介会社

「自社に適した人材の紹介を受けたい」「外国人雇用が初めてで不安」という場合は、「人材紹介会社(転職エージェント)」を使うのも一つの方法です。仕事を探している人と人材を求めている企業をつなぐプロの手を借りれば、担当者のみで採用活動を行うよりもスムーズに応募を集められます。

2.書類で在留資格や経歴を確認する

外国人からの応募があったら、履歴書や職務経歴書などで自社で就労可能な人材かを確認しましょう。特に重要なのは、就労を予定している業務に適した在留資格をもっているか、もしくはこれから取得できるかどうかです

たとえば「技術・人文知識・国際業務」を新たに取得する場合、大学または日本の専門学校を卒業しているか、10年(国際業務の場合は3年)以上の実務経験が必要です。

これらの点をクリアしているか確認のうえ、志望動機や自己PRに目を通すようにしましょう。

3.面接で日本語スキルや人柄を確認する(内定を出す)

採用選考の面接では、まず実際の日本語能力に注目します。日本語の試験の結果や学歴だけでは、コミュニケーション能力は判断できません。日本で働く理由や働きたい期間といった必要な質問をしつつ、どの程度スムーズに受け答えができているか確認しましょう

なお、海外と日本では履歴書の書き方が異なります。海外では自分をアピールする書類と捉えられているため、本人が経歴を誇張して書いている可能性もゼロではありません。内容の事実確認もあわせて行いましょう。

4.雇用契約を締結する

外国人と雇用契約を結ぶ前に、在留カードのチェックを必ず実施しましょう。コピーではなく現物を触って確認し、書体やホログラムまで細かく見るのが重要です。もし偽装された在留カードの場合、そのまま雇用してしまうと企業が不法就労助長罪に問われます。刑罰の内容は3年以下の懲役か300万円以下の罰金、もしくはその両方です。

問題がないと確認できてから、雇用契約を結びましょう

なお、本人が内容を理解していない状態で雇用契約を結ぶと無効になる可能性があります。そのため、雇用契約書や労働条件通知書を作成する際は、外国人の母国語版や翻訳文を添えるのが望ましいでしょう。

厚生労働省では「外国人労働者向けモデル労働条件通知書」を公開しています。ぜひ活用してみてください。

5.在留資格の各種申請を行う

必要に応じて外国人の在留資格の手続きを行います。申請の種類は、以下の3つのいずれかです。

  • 在留資格の新規取得:在留資格認定証明書交付申請(海外から呼び寄せる場合)
  • 在留資格の変更:在留資格変更許可申請(留学生などを採用する場合)
  • 在留期限の更新:在留期間更新許可申請(もともと就労ビザをもっている人の更新手続)

外国人が海外にいる場合は、雇用する企業や依頼を受けた申請取次者などが手続きを行います。本人が日本にいる場合、自ら手続きをしてもらうのが一般的です。その際に企業が用意する書類も存在するため、スムーズな申請のためにも協力して取り組みましょう。

関連記事:「外国人を雇用するには?入社前・入社後の手続きと必要書類

6.受け入れ体制を整える

採用が決まったら、先述したように入社までに受け入れ体制を整えます。

初めて外国人を雇用する場合、コミュニケーションエラーやハラスメントの対策として、既存の社員向けに研修を行うのが理想です。また、採用する外国人の日本語レベルに合わせて、業務上必要なマニュアルを別途作成する必要があります。

さらに、海外から招へいした外国人労働者に長く安心して働いてもらうには、業務面のサポートだけでは不十分です。たとえば、日本語に不慣れな状態で住居や各種インフラの契約を行うのは非常に難易度が高いといえます。社員寮の提供や各種契約の代行など、安心して仕事を始められる環境を企業が率先して作りましょう

7.雇用を開始する

雇用契約を締結し受け入れ体制を整えたら、いよいよ就労開始です。なお、前述したように外国人雇用特有の手続きとして、入社後の「外国人雇用状況の届出」があります。外国人を採用した企業は、ハローワークを通して厚生労働省に該当人材の国籍や在留資格といった情報を提出しなくてはなりません

外国人が雇用保険に加入する際は「雇用保険被保険者資格取得届」を使って届け出をします。加入しない場合は「外国人雇用状況届出書」の提出が必要です。

書類は厚生労働省のWebサイトからダウンロードできるほか、電子申請も受け付けています

参照元:
厚生労働省「労働基準関係リーフレット
厚生労働省「外国人雇用状況の届出について

まとめ

外国人労働者の受け入れは、企業にとって多くのメリットがある取り組みです。入社手続きやコミュニケーション面で注意点すべきポイントはありますが、多様な人材が働ける環境の構築は、日本人雇用の幅を広げることにもつながります。綿密な受け入れ準備でリスクを最小化し、外国人雇用を成功させましょう。