今や、日本で働くベトナム人の数は外国人労働者全体の約3分の1を占めるようになりました。採用活動で接する機会も少なくないため、一緒に働く前にベトナム人について知りたいと考える採用責任者の方もいるでしょう。

ベトナム人は、しばしば「日本人の国民性と似ている」といわれます。ややステレオタイプ的な表現ではあるものの、共通する文化や社会通念が多々あることは確かです。

当記事では、弊社のベトナム出身スタッフ監修のもと、ベトナム人の性格の特徴や仕事観を紹介します。日本で働くベトナム人事情や雇用のポイント、モチベーションを上げる秘訣もまとめました。ぜひ、ベトナム人が能力を発揮できる職場づくりにお役立てください。

※本稿には「人種」や「国籍」といった特定の属性に対するイメージを単純化する意図はありません。本稿の内容は、あくまでベトナムの文化や社会通念を紹介するものであり、個々人の性格は多種多様であるという点を踏まえてご覧ください。

ベトナムの基本データ

ベトナムの基本情報のイメージ

まずは、ベトナムについて詳しく知っておきましょう。

ベトナムは南シナ海に面した南北に細長い国で、面積は32万9,241平方キロメートル。日本から九州を除いた面積とほぼ同じ大きさです。北部には首都のハノイ、南部には最大都市のホーチミンがあり、それぞれ気候や文化が異なります。

ベトナムの人口は約1億30万人で、平均年齢は31歳です。多民族国家であるベトナムには人口の約86%を占めるキン族のほか、53もの少数民族が暮らしています。

公用語は、キン族の母語であるベトナム語です。とはいえ、北部のハノイと南部のホーチミンで発音が大きく異なるほか、ベトナム語を話せない少数民族の人もいます。

食文化は日本と同じく米が中心。ベトナム料理として有名なフォーの麺や生春巻きの皮は米粉が原料です。また、フランスの植民地だった影響もあり、バゲットに具材を挟んで食べるバインミーやコーヒー(ベトナムコーヒー)が根付いています。

ベトナムの人口ピラミッドの特色

ベトナムの人口ピラミッドは「つぼ型」で、25〜40歳の働き手世代が多いのが特徴です。しかし、国連の「World Population Prospects 2024」を見ても分かるとおり、ここ数年は出生率が低下しています。このままでは、将来的に少子高齢化が急速に進む見込みです。

経済成長を続けている一方、未だ開発途上国でもあるベトナムにおいて、労働力不足は早期に解決しなければならない課題の一つといえるでしょう。

国際連合(UN)「World Population Prospects 2024 Viet Nam」のイメージ

引用元:国際連合(UN)「World Population Prospects 2024 Viet Nam

ベトナムの宗教事情

ベトナムでは、憲法によって宗教の自由が守られており、すべての国民は信仰または不信仰の権利を有しています。割合としては、国民の約86%が無宗教で、カトリック教が約6%、仏教が約5%です。特定の対象を深く信仰するというよりも、先祖を敬ったり、家族を大切にしたりする価値観をもっています。

なお、無宗教とされる人々も、多くは仏教の教えに基づいた生活を営んでいるのが特徴です。そのため、国全体としては仏教が最も身近な宗教といえるでしょう。

参照元:
外務省「ベトナム社会主義共和国
厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)
国際連合(UN)「トップページ

ベトナム人の性格の特徴

もちろん性格は人それぞれ異なりますが、日本人に「控えめで自己主張をしない」「集団主義で和を重んじる」といった傾向が見られるように、ベトナム人にも比較的当てはまりやすい特徴があります。

ここでは、一般的にいわれがちなベトナム人の性格の特徴について見ていきましょう。

穏やかで温厚

ベトナム人の性格は、穏やかで温厚な傾向があるといわれます。これは日本と同様に「感情を強く表に出すのはあまり好ましくないこと」という考え方が浸透しているためです。同じ理由から、我慢強い性格だといわれることもあります。

このように、コミュニケーションにおいて美徳と捉えられやすい振る舞いに、日本人と似ている箇所が散見されるのが特徴です。

人見知りしがち

南国で開放的なイメージをもたれがちなベトナム人ですが、シャイで人見知りをしやすい側面もあるといわれています。そのため、打ち解けるまでに少し時間がかかることもあるでしょう。

一方で、ベトナムでは集団行動を重視する文化が根付いており、食事も友人や同僚と一緒にとるのが日常的です。そのため「自席で1人でコンビニ弁当を食べる日本の職場のランチ風景を見て驚いた」という声も聞かれます。

こうした環境の違いから、ベトナム人が職場でうまく馴染めないと、想像以上にストレスや孤独感を感じてしまうこともあるのです。

企業がベトナム人スタッフを採用する際は、歓迎会を開いたり、普段から雑談の機会を作ったりと、自然にコミュニケーションが取れる環境を整えてみましょう。なかには「1人でいるほうが気楽」と感じる人もいますが、そのような個性を理解するためにも細やかな会話や関わりが重要です。

ジンクスや行事を大切にしている

ベトナム人は、ジンクス(願掛け)や行事を大切にしています

なかでも、特に重要で多くの人が楽しみにしているのが旧正月「Tết Nguyên Đán(テト・グエン・ダン)」、通称「テト」です。日本のお正月のように、家族や親戚と集まってご馳走を食べたりお寺へお参りに行ったりします。日程は旧暦に沿って決まり、新暦では1月下旬〜2月中旬ごろです。日本の年末年始休暇とは日程がずれるので、柔軟な休暇取得制度があるとベトナム人が働きやすいでしょう。

また、ベトナムのお盆に当たる「ブラン祭」も大切な行事の一つです。旧暦の7月15日、新暦では8月中旬〜9月中旬ごろに先祖のお墓参りをしたり、両親へ親孝行をしたりします。

自分の意見や考えを率直に伝える

自分の意見や考えをハッキリ伝えてくれるのも、ベトナム人の性格の特徴です。穏やかで温厚な一面もありますが、本音と建前を使い分けることは少なく、上司や先輩にもしっかり意見します。

積極的に考えを述べるのは組織やチームの発展につながる可能性があるため、ポジティブな影響が期待できるでしょう。

ベトナム人の国民性は出身地域によって異なる

ベトナムは南北に長く伸びた地形をしており、地域によって気候や文化、言葉、国民性に違いがあるのが特徴です

たとえば、東京と大阪の人の気質が違うように、ベトナムも北部・南部・中部で人の印象が異なります。ただし、日本は同一民族内の地域差であるのに対し、ベトナムは多民族国家。文化的背景が複雑である点には注意が必要です。

ここでは、ベトナム北部・南部・中部、それぞれの出身者に見られる特徴について紹介します。

北部出身のベトナム人の場合

北部には首都のハノイがあり、国の中心機能が集まっています。日本ほどハッキリしていないものの、四季があり冬は寒く夏は暑い場所です。

北部出身のベトナム人は堅実で勤勉、また、辛抱強い人が多いといわれています。元々、ベトナム北部は南部に比べて資源が乏しいという事情がありました。そのため、少ない資源でどのように暮らしていくかをしっかりと考える習慣が身につき、仕事に対する真面目な姿勢が生まれたと考えられています。

南部出身のベトナム人の場合

南部は、ベトナム最大の経済都市であるホーチミンがある場所です。いわゆる常夏の地域で、人々が想像するベトナムの気温のイメージに近いでしょう。安定して農作物や資源が採れるので、古くから商いの町として栄えてきました

南部出身のベトナム人は、大らかで外交的な傾向があるといわれています。商売をしている人が多いこともあり他者とのつながりを大切にしており、食べ物に困らない温暖な気候に起因するのか、細かいことはあまり気にしません。貯蓄よりも消費に重きを置き、「今を楽しみたい」と考えている人が多い地域といえます。

中部出身のベトナム人の場合

中部にはビーチが多く、ダナンやニャチャンなどのリゾート都市が有名です。しかし、洪水や台風、干ばつなど、ベトナムのなかでも気象条件が厳しい地域といわれています。

自然条件が厳しい土地柄のためか、中部出身のベトナム人は忍耐強く倹約的な性格が特徴です。また、ビジネスの成功に向けてチャレンジ精神や向上心が高い傾向もあります。

ベトナム人の仕事に対する考え方

ベトナム人の仕事に対する考え方のイメージ

一緒に働くうえで、相手の仕事観を理解しておくことはとても重要です。行動や発言に疑問をもったとしても、根本となる考え方を知れば解消しやすくなるでしょう。

ここでは、弊社のベトナム出身スタッフに聞いたベトナム人の仕事観を紹介します。

勤勉で仕事やスキルアップに積極的な面がある

ベトナム人は、基本的に勤勉で仕事熱心な性格の傾向です。また、スキルアップにも積極的で、そのための勉強や努力を惜しみません。

特に日本にやってくるような人たちは、数年間も故郷を離れて暮らす選択ができるほどの強い目的意識をもっています。新規プロジェクトや大きな仕事にも意欲的です。

しかし、そのぶん自身のキャリアの得にならないと分かると、すぐに不満を抱いてしまう可能性もあります。真面目さや勉強熱心な特性を活かせるよう、キャリアアップ制度や資格取得制度などを整えておくのが望ましいでしょう。

家族へ仕送りするために働いている人がいる

日本で働くベトナム人労働者のなかには、家族へ仕送りをするために働いている人もいます

「家族を第一に」という考え方は、東南アジア各国でよく見られる慣習です。特にベトナム人は両親を大切にしており、「成人したら苦労して育ててもらった恩返しをすべき」という考えが根付いています。

上記のような価値観から、家族より仕事を優先しなければならない状況が続くと、働くモチベーションが低下してしまう恐れも。ベトナム人にとって、何より大切にしたいのは家族の絆です。家族の重要な行事や急病などがあったら、できる限り休暇の調整を検討してみてください。

残業に対してポジティブな人が一定数いる

一般的に外国人はプライベートと仕事の時間をしっかり分けたいと感じているため、日本人ほど積極的に残業をしないといわれています。

しかし、「短期間でたくさん稼ぎたい」「将来の活動資金を貯めたい」という目標のもと日本に来るベトナム人のなかには、給料が増える残業や夜勤に対してポジティブな人も一定数いるようです。正当な残業代をしっかりと支払えば、より多くの賃金を得られる機会と解釈し、意欲的に取り組んでくれる可能性があるでしょう。

とはいえ、人によって性格や考え方はさまざまであり、長時間残業をさせても大丈夫というわけではありません。業務上必要な場合にのみ、適切な量の残業を依頼しましょう。

能力を正当に評価されたいと考えている

自分の能力や成果を正当に評価されると嬉しいものですが、ベトナム人はその傾向が強いといわれています

ベトナムでは相手を褒めて称える文化が根付いており、企業でも社内コンテストや表彰制度が活発です。モチベーションを高く保つためにも、ふさわしいタイミングでしっかり言葉や行動で評価をしましょう。

新しくて効率的な方法を好みやすい

新しくて効率的な方法を好みやすいというのも、ベトナム人の特徴の一つです。より最適な道があるのなら、やったことのない方法でも積極的にチャレンジします

また、以前から慣習的に行われている非効率な方法に対して、「無駄ではないか?」「方法を変えるべきでは?」と疑問をもちやすい傾向もあるようです。

ベトナム人の新しい視点からの疑問は、企業の効率化を促進するきっかけになります。積極的に耳を傾け、必要に応じて意見を取り入れてみましょう。

関連記事:「ベトナム人労働者の特徴とは?日本で急増する理由やメリットを紹介

日本国内で働くベトナム人について

日本で働く外国人のうち、最も多いのはベトナム人です。長らく1位だった中国を2020年に抜き、2024年には外国人労働者全体の24.8%を占めるまでになりました。

ここでは、日本国内で働くベトナム人労働者について解説します。

ベトナム人労働者数の推移

ベトナム人労働者の人数は、過去5年間で10万人以上増加しました。以下は、厚生労働省が発表した令和2年から令和6年までのベトナム人労働者数と、対前年増加率をまとめた表です。

人数 対前年増加率
令和2年 44万3,998人 10.6%
令和3年 45万3,344人 2.1%
令和4年 46万2,384人 2%
令和5年 51万8,364人 12.1%
令和6年 57万708人 10.1%

参照元:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況表一覧(令和6年10月末時点)[参考-4]外国人労働者数(国籍別)

コロナ禍などの影響で増加率が低い年もありますが、ほかの年では安定して10%以上の数字を示しています。次いで人数が多い中国とも、2024年時点で16万人以上の差があり、今後も増加が予想されるでしょう。

ベトナム人を雇用するメリット

ベトナム人を雇用するメリットには、以下のようなものが考えられます。

  • 若い働き手を確保できる
  • 手先の器用さを活かせる
  • 勤勉さと就労意欲の高さに期待できる
  • 職場に新しい価値観をもたらしてくれる

若年層が多いベトナム人労働者を雇用することで、企業の若返りや職場の活性化などに期待できるのがメリットの一つです。また、ベトナムは陶芸や刺繍といった伝統工芸が盛んな国のため、手先が器用な傾向があります。ものづくり系や機械系など、器用さを活かした仕事を任せられるのも利点といえるでしょう。

厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)

ベトナム人が日本で働く理由とは?

日本で働くベトナム人は年々増加しており、製造業や介護職、サービス業など幅広い分野で活躍しています。では、なぜ多くのベトナム人が日本での就労を希望するのでしょうか。

そこには経済的な理由だけでなく、日本への親しみや信頼、技術力の高さ、治安など、さまざまな魅力が関係しています

ここでは、ベトナム人が日本を働く場所として選ぶ主な理由について詳しく見ていきましょう。

親日感情をもっている

ベトナムは親日国の一つであり、特に若い世代では家族や親戚の影響を受けて日本に関心をもつ人が多いようです。たとえば、「日本の支援で国が復興した」という話を祖父母や親世代から聞いて育ったり、日本で働いて成功した知人や親戚の話を身近で聞いたりすることで、日本に興味をもちます。

本人が最初から強く日本を志望しているというよりは、周囲の影響によって「日本へ行ってみたい」という前向きな気持ちが芽生えていく傾向です。

また、日本製品への信頼も親日感情の背景にあります。ベトナムはバイク社会として知られていますが、国内で使われているバイクの多くは日本製です。バイクそのものを「ホンダ」と呼ぶほど、日本のメーカーが浸透しています。

さらに、日本の漫画やアニメを見て育った世代も少なくありません。こうした文化的な影響も、ベトナム人が日本に対して親しみを感じる理由の一つです。

高い収入を得たい

多くのベトナム人が日本での就労に魅力を感じている点として、「高収入を得られること」が挙げられます

初任給を比べると、ベトナムは月3万円程度なのに対し、日本は18〜22万円程度と6〜7倍ほどの差があるのが実情です。そのため、「生活の質を上げたい」「家族に仕送りをしたい」と考えるベトナム人にとって、日本で働くことは大きなチャンスと捉えられています。

また、ベトナムでは若者の就職難も深刻な問題で、2024年における15〜24歳の若年層の失業率は7%台にのぼりました。対して、日本では介護飲食業など人手不足の業界が多く、真面目に働く意欲があれば国籍問わず比較的就職しやすい状況です。

もちろん、語学スキルをもつ人材やIT系の人材のように、専門性が高い職種はベトナム国内での年収が上がってきています。一定の経験を積めばベトナムで高収入を得ることも可能でしょう。とはいえ、日本で働けば短期間でまとまった収入を得られるため、ベトナム人にとって日本での就労は非常に魅力的な選択肢となっています。

技術力の高い日本で知識・スキルを習得したい

ベトナム人が日本で働きたいと考える大きな理由の一つが、「日本の高度な技術や専門知識を学びたい」という思いです。日本の製造業やサービス業は、世界的に見ても高い水準を誇っています。現場で働きながら高品質のスキルを身につけられるのは、キャリアアップを目指すベトナム人にとって利点といえるでしょう。

日本企業は研修制度や人材育成プログラムなどにより、未経験から段階的に成長できる環境が整っている傾向があります。そのため、「日本で働いて自分の可能性を広げたい」と考えるベトナム人は少なくありません。

実際に、2023年度の外務省「海外における対日世論調査」によると、日本に対して「経済力、技術力の高い国」というイメージをもっているベトナム人は77%にのぼりました。

ベトナムは新興国として急速に発展していますが、製造業やその関連産業はまだ発展途上です。日本での就労経験を活かして、将来的には母国の産業発展に貢献したいと考えている人もいます。

生活環境や治安が好ましい

日本の生活環境や治安に好感を抱いているのも、ベトナム人が日本で働きたいと考える理由の一つです。日本は社会保障制度や企業の福利厚生が整っており、健康保険や年金制度、育児支援など、労働者とその家族を支える仕組みが充実しています。企業によっては住宅手当や通勤手当なども支給され、働きながら安心して生活できる環境を整えやすい点が魅力です。

さらに、日本は世界的に見ても治安が安定しており、犯罪に巻き込まれるリスクが低い国として知られています。夜遅くに出歩いても心配が少ない社会は、初めて海外生活を送る人にとって心強い要素です。

こうした安心・安全な暮らしと働きやすさが、日本を就労先として選ぶ一つの理由となっています。

関連記事:「外国人労働者を受け入れるメリット・デメリット|雇用の流れも解説

参照元:
ベトナム統計局「雇用
外務省「海外における対日世論調査

ベトナム人と働くうえで理解しておくべきこと

ベトナム人は、比較的日本企業に馴染みやすい性質をもっている人が多い傾向です。しかし、理解しておかなければならない注意点もあります。日本とは異なる文化や規範で行動していることを頭に留め、適切なマネジメント方法を模索しましょう

弊社のベトナム人スタッフに聞いた、理解しておくべき特徴は以下のとおりです。

時間にルーズな傾向がある

ベトナム人の時間感覚は、日本人からするとルーズに感じられる可能性があります。そもそも「時間を守る」という意識が薄く、待たせた相手の時間を奪っているという感覚もそこまで強くありません

時間の価値が低いベトナム人に対して、ただやみくもに遅刻について注意しても改善は難しいでしょう。「時間を守らなければ日本人はどう思うか」「遅刻することでどのようなデメリットが生じるか」といった点を説明する必要があります。

長期目標よりも短期的な利益を優先しがち

ベトナム人は長いスパンで考えた将来的な利益よりも、目の前の利益を優先しがちな傾向です。国が長らくの不況に苦しんだ経験から、「今このときの生活を充実させたい」という考え方が根強いといわれています。

そのため、ベトナム人は将来を見据えて仕事を選択することは少なく、直近でどのくらいの給与が支払われるかという点を重視しやすいようです。昇給したら高い年収が見込めても採用時の収入が低い仕事は、ベトナム人にとって魅力が薄い可能性があるでしょう。

「報連相」の意識が低い

ベトナムに限らず、海外のビジネスシーンでは「報告・連絡・相談」の文化がないため、それらの概念をイメージするのが難しいようです。ただ「報告してください」と言われても、何をいつ報告すべきなのかがピンときません。面倒でしないのではなく、方法が分からないといった感覚が正しいでしょう。

ベトナム人に報連相を徹底してもらうためには、その目的や方法、重要性を説明していく必要があります。また、どのようなシチュエーションになったら報告・連絡・相談すべきなのか、ケーススタディを作成するのも効果的でしょう。

個人の判断で動いてしまうことがある

ベトナム人は人懐っこく話し好きな人が多い一方で、仕事においては個人主義な一面があるといわれています。先述したように、何か問題があっても報告・連絡・相談をせず、自分だけで解決しようと動くことも。よほど大きな問題でなければ、ほかの人に共有する必要はないと考えてしまいます。

日本企業にうまく適応して能力を発揮してもらうためには、チームワークの意味や組織での動き方をしっかり教育するようにしましょう

転職に対する心的ハードルが低い

ベトナム人は、今の仕事が自分に合わないと思ったり、ほかに好条件の仕事があったりしたら転職しやすい傾向があります。ベトナムにおける採用選考のプロセスは日本よりシンプルで、書類選考と面接1回で終わるパターンがほとんどです。そのため、転職への心的ハードルが低いことが考えられます。

また、日本の就職活動において自己分析や企業研究は必須とされていますが、海外ではそうとは限りません。ベトナムにも自分との相性や企業の詳細をよく調べるという文化がなく、入社後にギャップを感じてしまうケースがあります。その結果、自分に合った職を求めて転職をするベトナム人は少なくありません。

働きに対する評価は正当に行い、昇給・昇格の機会を適切に設けるのが長期的な活躍につながるでしょう。

ベトナム人に対するタブーな言動

生まれ育った環境や価値観の違いから、ベトナム人と接するうえで気を付けなければならない言動がいくつかあります。以下で、ベトナム人に対するタブーな言動について把握しておきましょう。

目上の人への敬意を欠くこと

ベトナムでは相手を思いやる仏教の教えが根付いているため、目上の人への敬意を欠くことはタブーです。特に年齢が上の人は敬うべきとされており、日本よりも年長者を尊重する姿勢が重要視されます。

職場でも、部下が自分より年上の場合は、言葉遣いや態度で敬意を示すことが大切です。年功序列を欠いた姿勢は、ベトナム人にマイナスな印象を与える恐れがあります。

人前で叱責すること

ベトナム人と一緒に働く際は、人前で叱責したり注意したりするのは避けましょう。ベトナムでは、人前で相手を怒ることがほとんどありません。そのため、職場などで叱られると「自尊心を傷つけられた」と強いストレスを感じ、モチベーションが低下したり早期離職につながったりしてしまう恐れがあります。

業務に関してベトナム人への注意や指摘が必要な場合は、個別に呼び出し穏やかな態度で指導を行いましょう

ベトナムの政治や歴史を批判すること

ベトナムでは、国内の政治や歴史に関する話題は極めてデリケートなものです。たとえ日常会話であっても、政治に批判的な発言をしたり、歴史認識について議論したりするのは避けましょう

万が一ベトナム人のほうから話題を振られた場合は、相手の意見に寄り添い、対立的な立場を取らないよう心掛けることが大切です。

ベトナム人を雇用する際の注意点

近年、日本では人手不足の解消策として、外国人労働者の受け入れが加速しています。なかでもベトナム人は真面目で勤勉な性格が評価されており、多くの企業で活躍中です。

しかし、実際に雇用してみると「すぐに辞めてしまった」「意思疎通がうまくいかない」などの声が上がることも。前の項目でも述べたように、ベトナム人は転職のハードルが比較的低く、条件が合わないと判断すればすぐにほかの職場へ移る傾向があります。そのため、企業側は「長く安心して働いてもらえる環境」を提供することが重要です。

ここでは、ベトナム人を雇用する際に押さえておきたい6つの注意点を詳しく解説します。

文化の違いを理解する

まず大切なのは、日本とベトナムの文化的な違いを理解することです。日本では暗黙の了解や空気を読む力が重視されますが、ベトナムでは自分の意見を率直に伝えることが当たり前とされています。仕事においてもフラットに意見を交わす傾向があり、場合によっては素直な物言いが誤解を招く恐れもあるでしょう。

家族や地域社会とのつながりを大切にする価値観が強く、仕事よりも家族の行事を優先する場面も珍しくありません。宗教や祝祭日も異なるため、カレンダー通りに働く日本の感覚だけで接してしまうと、すれ違いが生じる可能性があります。

文化の違いを前提に、お互いを理解しようとする姿勢が信頼関係を築く第一歩です。

難しい日本語の使用を避ける

ベトナム人とスムーズにコミュニケーションが取れていたとしても、すべての日本語のニュアンスを理解できているとは限りません。なかでも業務上で使われる専門用語やビジネス表現は多数あり、すぐに理解するのは難しいでしょう

たとえば、「特定技能」と「技能実習」の在留資格の要件である日本語能力試験(JLPT)のN4は、「日常的な場面でゆっくりと話される会話であれば、内容をほぼ理解できる」「基本的な語彙や漢字を使って書かれた、身近な話題の文章を読んで理解できる」といったレベルです。

また、受験者数が最も多いN3でも「日常会話レベル」となっています。日本人同士では伝わっても、外国人にとっては分かりづらい言い回しもあるでしょう。

特に、来日したばかりのベトナム人や日本語を学習している最中のベトナム人と会話をするときは、できるだけ簡単な日本語で話し、都度相手が内容を理解できているか確認しましょう。

アイデアや考え方をできる限り尊重する

ベトナム人の出したアイデアや意見を尊重する姿勢を示すと、前向きに意欲をもって働いてもらいやすくなります

「ベトナム人の仕事に対する考え方」の項目でも解説したとおり、ベトナム人は能力を評価されたいという思いが人一倍強い傾向です。頭ごなしに否定をされたり、適切な評価をされなかったりすると、仕事へのモチベーションが低下してしまう可能性があります。

ベトナム人のアイデアや意見を一度しっかり受け止めたうえで、より最適な方法を一緒に考えていくのが望ましいでしょう。

曖昧な指示は出さずに明確に伝える

日本の職場では「察する力」が求められがちですが、ベトナム人を含む外国人労働者には基本的に通用しません。「ちゃんとやっておいて」ではなく、指示を出す際は「誰が・いつまでに・何を・どうするか」を明確に伝えることが大切です

「ベトナム人と働くうえで理解しておくべきこと」でも述べたとおり、日本人に比べてベトナム人は時間にルーズな傾向があります。トラブルを防止するためにも、「〇月〇日〇時までに、〇〇を△△の順番で仕上げてください」と、できる限り具体的に伝えるのがポイントです。

言葉だけで伝えるのではなく、図解や写真入りのマニュアル、簡単な言葉で説明したチェックリストなどを用意しておくと、理解度が高まりベトナム人労働者も安心して業務に取り組めます。小さなミスから大きな不信感につながらないよう、日々のコミュニケーションを丁寧に行いましょう。

キャリアアップの機会を提供する

ベトナム人を含む外国人労働者の多くは「ただ働くだけでなく、スキルを身につけて将来に活かしたい」と考えて来日しています。日本で得た経験や知識を母国に持ち帰り、独立や起業を目指している人も少なくありません。

そのため、定期的な研修の機会を提供したり、習熟度に応じた評価制度を整備したりすることで、ベトナム人労働者のモチベーション維持につながるでしょう。「頑張ればキャリアアップできる」「努力が報われる」と感じられる環境が、離職率の低下や長期的な人材育成に効果的です。

働きやすい環境を整える

母国語での各種書類・マニュアル作成や生活面の手厚いサポートなど、ベトナム人が安心して働ける職場づくりは大きな安心材料になります

住居の紹介や役所手続きのサポート、日本での生活習慣の説明など、ちょっとした支援が「この会社で働き続けたい」と思わせるポイントになるでしょう。また、社内に相談できる相手や同じ言語を話せる先輩がいるといった「心理的安全性」の確保も欠かせません。

そのほか、休み時間は机で昼寝してもOKな雰囲気をつくることもおすすめです。高温多湿のベトナムでは、体力を回復させるために昼寝をする文化があります。学生の頃から、休み時間は机に突っ伏して睡眠を取る習慣が根付いているのです。

昼休みに15~30分程度の昼寝をすることは「パワーナップ」と呼ばれ、午後の集中力アップや疲労回復につながります。ベトナム人の雇用とあわせて、社内で積極的に昼寝の習慣を取り入れるのも一つの方法でしょう。

関連記事:「外国人採用における課題や問題は?対策をわかりやすく解説

まとめ

多くのベトナム人は、日本の高い技術力や安定した雇用環境に魅力を感じて来日しています。日本企業にとって、今やベトナム人は貴重な人材となりました。ベトナム人労働者の能力を最大限発揮してもらうためには、性格や仕事観の特徴を理解したうえで、適切なマネジメントを行うことが大切です。

日本人に「控えめで自己主張しない」「集団主義で和を重んじる」といった傾向があるように、ベトナム人にも「穏やかで温厚」「人見知りしやすい」「ジンクスや行事を大切にする」といった特徴が見られます。とはいえ、すべての人に当てはまるわけではありません。

文化や価値観の違いを受け入れつつ、先入観にとらわれずに個々と向き合う姿勢が大切です。思いやりをもった関わりが信頼関係を深め、職場での良好なチームワークへとつながります。

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